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更新日: 2021年11月24日

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オランダ代表が宿泊。コナステイ伊豆長岡の平塚さんに聞きました

自転車競技マウンテンバイクのオランダ代表チームが、伊豆の国市のコナステイ伊豆長岡を拠点に伊豆MTBコースで行われた東京2020大会マウンテンバイクのレースを戦いました。

オランダ代表チームをサポートされた、平塚吉光さんに当時の様子や自転車競技の魅力は今後に向けて色々とお話を伺いました。

お話を伺った方

平塚吉光さん

コナステイ伊豆長岡サイクル事業部マネージャー/チーフガイド

修善寺工業高校(現伊豆総合高校)出身

元自転車競技選手

オランダ代表選手の受け入れ

コナステイ伊豆長岡には、オランダ代表チームのサインやウエアが飾られています。東京2020大会が終わり、オランダ代表が宿泊されたときのことを振り返っていただきました。想像以上に大変な状況だったことがわかりました。

 

平塚さん

平塚さん
「まず、海外選手団の受け入れについて、各種事項の整理や調整が非常に大変でした。組織委員会や自治体との調整事項も、この場では説明しきれないほど、たくさんありました。
選手を空港に迎えに行った際にも、空港にいる担当の方が、とてもばたばたしている状態でした。」

 

受け入れる事前準備というだけでも、非常に大変そうに感じました。さらに、コロナの感染状況に関しても、国が異なると捉え方も違ったようです。

 

平塚さん

「新型コロナウイルス感染の状態に関しても、日本とオランダの捉え方が違いました。組織委員会は日本に住んでいる日本人が仕切っていますので、日本の状況に合わせた対応を依頼されました。

しかし、オランダの選手からすると、五輪開催時の日本は”コロナ感染者も少ない安全な国”という認識でした。オランダの選手は、厳しい日本の対応に「なんで?」となります。実際オランダ選手団は大会が終了した後、帰国後の隔離もなければ、空港での検査もなかったそうです(注:その後は状況が変化)」

 

海外の日本に対する考え方が異なっていたこともお話からわかりました。さらにオリンピックということで、苦労が多かったようです。

受け入れだけでではなく、実際に選手が宿泊し大会に向けて準備をしている時も、様々な課題があったようです。

 

平塚さん

「選手の練習についても、安全や地域への影響を考慮して、”定められた道路のみ練習可”と組織委員会が決めていました。しかし、決められたその道路は、地元の生活道路です。生活道路ですから、地元の方の車も通ります。その道路をたくさんの選手が自転車で走っていたら、お互い危険にさらされる可能性がありました。私たちは安全を考慮して、一般道で安全に走れるルートを設定して練習をすることにしました。選手も地元の方も危ない目に遭うことを避けたかったためです。」

 

平塚さんは、元自転車競技の選手。それを活かし、選手の練習に付き添うことで、選手にも地域にも安全な練習を実現しました。今までの大会であれば、練習中に選手と地元の人が触れあうことができることが魅力ですが、コロナ禍ですので、非常に気を遣ったそうです。オランダ代表ジャージ

 

平塚さん

「男子チームの練習には、私が自転車で帯同しました。女子チームに関してもスタッフが車でついていきました。新型コロナウイルスの感染対策として、また、地元の方や自動車走行者に迷惑をかけないためです。

公道を走る以上、オランダの選手もルールを守る必要があります。県が作成した多言語の自転車の走り方のチラシは活用できました。オランダの選手にも日本の交通ルールを守ってもらうため、走りながら注意もしました。オランダの選手も最終的には二段階右折まできちんと出来るようになりましたよ。」

「コロナ禍なので、選手が水分補給をしたい、と言っても、直接自動販売機に触らせることはしませんでした。私が自動販売機で購入して選手に渡しました。水分補給後も、周辺の消毒を徹底するなどの対応をしました。また、選手に近づいてきてくれる方にも、このような時期なので、遠慮いただく、という仕切りも心苦しいですが行っていました。」

 

コロナ禍という状況であり、単に海外チームを受け入れるということとは道理が違った今回の大会。苦労が多かったようですが、コナステイ伊豆長岡では、変化もあったようです。

 

平塚さん

「スタッフが自転車競技に興味を持ってくれるようになりました。興味を持って仕事をするのと、そうではないのでは、仕事の取り組み方も変わってきますからね。」

 

自転車競技について考える

東京2020大会であるものの、自転車競技は静岡県で開催でした。静岡県での開催について、心配な事項があったようです。

 

平塚さん

「東京大会なのに、自転車競技は東京から100kmも離れた”静岡”での開催であり少し心配がありました。トラックについては、”伊豆”という認識がありますが、他の競技はそうでもありません。実際、オランダの取材クルーは東京のホテルを宿泊地として確保してました」

「結果として、静岡県が会場だったから有観客で開催出来たということでもあります。生で見ることができるということは、非常に大きい意味があります。テレビで見た方が解説もありわかりやすいです。でも、生で見ないと伝わらないことも多いです。
世界大会ならではの雰囲気というものもあります。自転車の世界では、世界選手権もオリンピックも、所詮は1レースに過ぎません。ただ、世界選手権やオリンピックは、他の大会と雰囲気が違います。さらにオリンピックはスポンサーが表に出ないない分オリンピック一色の会場になります。」

 

有観客でありながら、コロナ禍での開催。有観客だとはいえ感染も拡大している状況で、お祭り気分で行うことも出来ませんでした。

平塚さん

「ロードレースに関しては残念ながら”自粛”という結果になってしまいました。しかし、ツールドフランスを戦った一流選手たちが、その翌週日本に来てレースをしたのは事実です。」

 

ロードレースも東京・神奈川・山梨を経て、本県の公道を利用して行われました。大会はオリンピックをやって終わりではありません。今後につなげていく必要があります。

平塚さん

 

平塚さん

「日本では、自転車競技を見る機会がほとんどないのが現状です。テレビの中継なども少ないです。とにかく生でみれるレースを、今後、開催してほしいです。
”レガシー”という言葉も、2年くらいしか使えないのではないでしょうか。早めにレガシー大会をやった方がよいのではと思います。静岡県には、タイムトライアルコースもありますので、タイムトライアルのレースをしたり、街中でショーとしてのレースを行うなど、方法はいくつかあるかと思います。」

 

サイクリングと自転車について考える

静岡県としては、サイクリングにも力を入れています。サイクリングツアーを実施している平塚さんに、サイクリングの今後についても聞いてみました。

 

平塚さん

「静岡県におけるサイクリングは、強みがあります。まず、初心者向けのコースがいくつも設定が出来ます。例えてみれば、狩野川のサイクリングコース、静岡の梅ヶ島などはコースとしてよいところですね。」

 

「e-bikeやクロスバイクというもの自体のハードルも高いように感じます。どこを走ったら良いのか、何が必要なのか等々。その辺は自転車関係者の努力も必要ですね。

他には、安全に自転車を走るための「案内看板」が必要かもしれませんね。案内看板があって、案内に従って走るだけで良ければ、走りやすいでしょう。太平洋岸自転車道を含めていろいろな道でも途中で看板がなくなってしまう箇所がありますので。」

 

冬場でも雪が降る地域が限られる静岡県は、一年中サイクリングができる地域かもしれません。関東や名古屋からもそれほど遠くもありません。日帰りサイクリングもできます。山間部もあれば、平地もある、海沿いもある、レベルに合わせて走ることもできりやすそうです。

 

平塚さん

「静岡県内は、道路に矢羽根を引いてもらえたことはありがたいです。しかし、矢羽根※の意味を理解していない人も多いので、矢羽根の周知については、呼びかけています。」

※矢羽根(やばね)

普通自転車が走るスペース。車や二輪車等の運転手に「自転車が走るスペースである」ということを視覚的に訴える役目も果たしている。

編集担当から

今回、東京2020大会オリンピックのオランダ選手を受け入れたコナステイ伊豆長岡の平塚さんにお話を聞きました。コロナ禍の海外選手受け入れは想像以上に苦労をされた様子でした。

東京2020大会の「レガシー」という言葉を耳にすることが多いかと思います。施設としてのレガシーは県内にコースとなった道路や、競技会場は残ります(会場は民間施設)。

”自転車競技を観た”という気持ちもレガシーとして、今後に引き継ぐ必要があります。”東京2020大会をきっかけに初めて自転車競技を観た”という県民はきっと多いでしょう。その「観た」を一過性にせず、「今後も観に行きたい」という気持ちにつなげるようにしなければ、意味がありません。

同じく自転車、サイクリングの拡大にも、静岡県は絶好のロケーションです。富士山に駿河湾、浜名湖等々美しい景色を見ながら平地も走れますし、山岳コースも走れます。ロードレースのコースとなった、明神峠・三国峠も険しいサイクリングポイントになります。

今回の機会を今後に繋げていくために、静岡県としても色々と考える必要がありそうです。