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更新日: 2021年2月4日

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静岡県自転車競技コラム/静岡県内コースの紹介

2021年7月に開催される東京2020大会の自転車ロードレースは男子が約244km、女子が約147kmの距離で争われる。男女ともに東京都府中市の武蔵野の森公園をスタートし、神奈川県、山梨県を通過して、静岡県小山町の富士スピードウェイでゴールを迎える。1都3県をめぐる中で、数えきれないほどのアップダウンや、勾配のきつい峠を何度も通過せねばならず、男子の獲得標高(上った高さの合計)は約4865m、女子は同約2692mとなっている。距離・獲得標高から見ても、ロードレースのなかでも厳しいコースであり、サバイバルレースになることが予測される。ここでは、レースコースを紹介しながら、静岡県内の注目エリアを解説する。

本稿で紹介した注目エリアは沿道での観戦可能エリアとは限りません。沿道での観戦可否については、組織委員会からの公表をお待ちください。

男子自転車ロードレースコース

ロードコース

スタート地点となるのが、東京都府中市の武蔵野の森公園。男子は2021年7月24日11時にスタートを切る。スタート後、10kmは観客に姿を披露するパレードとなり、多摩川にかかる是政橋からがリアルスタートとなる。その後、南多摩尾根幹線道路(通称「尾根幹」)、神奈川県相模原市を通り、国道413号の道志みちへ。山梨県道志村の山伏峠を通過して山中湖の北岸を走行する。尾根幹、山伏峠、道志みち、山中湖畔、いずれもサイクリストにはおなじみの道である。

 

山中湖の北岸を過ぎてからは、国道138号線に入り、山梨県と静岡県の県境である籠坂峠へ向かう。ここから先が静岡県となるが、スタート地点から籠坂峠までで約106kmと中間地点も過ぎていない。この先のコースは一層険しさが増すため、レースは静岡県内が勝負どころとなりそうだ。

 

籠坂峠を下ると、いったんコースは富士山麓周回コース(御殿場市、裾野市方面)に向かう。サイクリストに人気の富士山一周(通称フジイチ)の一部となる国道469号へ入り、自衛隊東富士演習場の雄大な景色を横切ったあとは、標高1451mのコース最高地点となる富士山麓までのヒルクライムが待ち構えている。普段は自動車専用道路である南富士エバーグリーンラインがコースとなっている。最高地点に到達してからは富士山スカイラインを下り、一旦ゴール地点の富士スピードウェイへ向かう。

 

富士スピードウェイに入場してもすぐにゴールとはならない。周回した後で一度場外へ出て、富士スピードウェイ周辺を周回してから、もう一度富士スピードウェイに入場、再び場外に出て、明神峠へと向かう。明神峠と三国峠を通過した後は、山中湖畔の南岸を走行してから、二回目の籠坂峠へ。その後、富士スピードウェイに入って、ようやくゴールを迎える。一般のサイクリストでは、1日での完走は、ほぼ不可能と思われる。

男子ロードレースコースの注目エリア

注目エリアその1は籠坂峠の下りだ。籠坂峠の下りの特徴として、2車線が確保されており、かつ、直線的な箇所が多いことが挙げられる。2019年7月に開催されたテストイベント「READY STEADY TOKYO-自転車ロード」(男子のみの開催)では、時速80km近いスピードが出ており、東京2020大会本番当日も高速のダウンヒルが予測される。ヘアピンカーブも2カ所あり、選手にとっては気の抜けないエリアとなる。

 

注目エリアその2は須山交差点から男子コース最高標高地点の富士山麓まで。須山交差点を過ぎてからしばらくすると10km以上の登坂区間が続く。須山交差点の標高が約590m。富士山麓は1451mであり、1000m弱の高低差を一気にのぼっていくこととなり、選手たちをかなり苦しめそうだ。この富士山麓からゴール地点までは100km近い距離が残っており、勝敗を決定づけるようなシーンは期待できないかもしれないが、選手が絞られていくなどといった展開は予想でき、見過ごせないエリアとなる。

また、このエリアは景観の観点からも、注目しておきたい。須山交差点を過ぎてしばらくするとコースの両脇を背の高い木々が覆っていき、いつの間にか道路以外、人工物のない空間が誕生する。そして、富士山麓にいたるまでに時折、富士山が雄大な姿も見せてくれる。峠の頂上に近づくにしたがって、徐々に富士山が大きくなっていき、スケールの大きさを感じられるエリアともなる。

 

注目エリアその3 富士山スカイラインの下り

次は富士山麓を通過した後の富士山スカイラインの下りについて。下り序盤は蛇行する箇所が多いが、下る際のラインの取り方によっては比較的、先が見通せると思われ、急減速するような箇所は少ない。変わって中盤はヘアピンカーブが登場しテクニックが求められる場所もある。そこを過ぎると、麓までは超高速のダウンヒルとなる。見通しのきいた直線状の下りが長く続くため、かなりのスピードが出そうだ。

 

注目エリアその4 明神峠

男子コースのなかでも最大の注目エリアとなるのが明神峠だ。明神峠は標高が897m、距離が6.7km、平均勾配が10%と厳しい登坂区間が続くが、特筆すべきは最大勾配20%の激坂区間があることだ。急勾配区間では自転車がなかなか前に進まない。スタートからここまで200km近く走ったうえで、この峠に挑もうというのは”無謀”と思えるほどだ。選手には相当な負荷が体にかかるだろう。逆に険しい区間であるからこそ、体力差なども出やすく、勝負どころの筆頭に挙げられるエリアだ。

実際、2019年のテストイベント 「READY STEADY TOKYO-自転車ロード」でも勝負を決めたのは明神峠だった。明神峠の急勾配区間でアタックしたイタリアのディエゴ・ウリッシ選手が10人近い集団から抜け出して、独走状態に持ち込み、勝利を飾っている。大会本番においても、明神峠の急勾配区間は、金メダルの行方を大きく左右する外すことのできない注目エリアになる。

注目ポイント 当日の天気・気温

エリアだけではなく、当日の天気・気温などにも注意を向けたい。開催予定日は男子が7月24日、女子が25日であり、一年のなかでも最も暑い時期。気温が上がれば上がるほどサバイバルレースと化すはずだ。曇りで天気に恵まれたとも言える2019年7月開催のテストイベントでさえ、出走者95人中完走できたのは49人で半数近くがリタイアしており、勝者のディエゴ・ウリッシも「とてもハードなコースだった」と語っている。ただでさえコースは厳しいが、当日の天気・気温はその難易度をさらに高めることになるだろう。

女子自転車ロードレースコース

ロードコース女子

画像提供:東京2020

 

女子もスタート地点は男子と同じ武蔵野の森公園。7月25日の13時にスタート。道志みち、山伏峠を通過し、籠坂峠に至るまでのコースは男子と同一となる。

籠坂峠を下ると、ゴール地点の富士スピードウェイへ。しかし、すぐにゴールとはならず、サーキットの周回をこなしてから、場外に出て、アップダウンの激しい富士スピードウェイ周辺コースを巡って、再び富士スピードウェイでゴールを迎えるというコースだ。

女子ロードレースコースの注目エリア

女子コースの最高標高は道志みち(山伏トンネル)で1121m、次いで籠坂峠の1111mとなっており、勝負の行方を占ううえでエネルギーを莫大に消耗する2つの峠に目が行きがちだが、籠坂峠を下ってからのラスト20km(富士スピードウェイとその外周路)は見過ごせない。高低差を示したコースプロフィールでは高低差が小さく目立たないものの、ラスト25kmは100m上り100m下るといったようなイメージのメリハリのきいたアップダウンが続いている。

当日のレース展開次第にもよるが、この地点まで到達する頃には、選手の体力はすでに消耗しているはずであり、最後の力を振り絞って、勝負を決定づけるアタックがこのラスト20km以内のどこで起きても不思議ではない。

 

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